通い猫が居ました。
灰色の白猫です。
嫌〜な臭いではありませんが、鼻を近づけるとちょっち臭いです。
長い間撫でていると、指先が黒くなります。
蚤も沢山つれて来ました。
…洗おう!
そう思いました。
抱き上げて風呂場につれていくと、これから起こることを知っているのか、「みゃぉ〜〜〜〜ん」と、か細い声で鳴きました。
でも、猫のためです。
構わず風呂場の床に猫を下ろしました。
捕まえている手に猫の緊張感が伝わってきます。
猫を押さえたままシャワーヘッドを手にとってお湯を出すと猫の身体がどんどん堅くなっていきます。
お湯をかけました。
その刹那、あらん限りの力を使って私の手をふりほどき風呂場からの脱走を試みた猫。
私は驚きながらもひとまずシャワーヘッドを傍らに置き、風呂用のイスに腰掛けた状態で、両足の親指と人差し指で、猫の前足を挟み込みました。
そして左手で猫の背中を押さえ込みました。
猫は四肢を突っ張って抵抗しますが私の押さえる力の方が強く身動きできません。
再びお湯をかけました。すると...
「あぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
と雄叫びをあげました。
まるで、足でも切られたと言わんばかりの悲鳴です。
焦りました。
ここは賃貸のアパートで猫の飼育は禁止,大家さんの家は直ぐ目の前にあります。
自分のアパートから猫の悲鳴が聞こえたらどう思うでしょう。
思わず猫の口を押さえました。
前足を足の指でしっかりと挟み込み、左手で口を押さえた、その状態で、シャンプーを手に取り強引に洗い上げました。
どうにかすすぎを終えて風呂場の扉を開け、猫を押さえる力を緩めると、水を滴らせたまま脱兎の如く、自分のスペース(ダイニングの隅に設置した段ボール箱)に走って行きました。
タオルを持っていって拭いてあげましたが、十分にふき取れないのでドライヤーを掛けようと思ったらこれがまた大変。
音が嫌なのか、温風が嫌なのか、ドライヤーをとても怖がります。
仕方ないので放っておく事にしましたが、濡れた毛が身体に張り付いてとても貧弱な感じになってしまいました。
本人も気になるのかずっと身体をなめていてちょっとかわいそうでした。
ところで、濡らしたら臭いは一層強まりました。
あたふたした状態で洗ったので洗いが甘かったのでしょうか。
結局、猫にとっても人間にとっても不幸な入浴となりました。
あれだけ酷いことをしても、私がやったということに気が付いていないのか、虐めた訳ではないことを理解しているのか、その後嫌われたりはしていないようで一安心です。
でも…、猫を抱いて風呂場に近寄ると情けない声で訴えます。
風呂場に入ろうとすると、足を一杯に広げ風呂場の扉の枠にしがみつきます。
よっぽど怖かったんですね。